能力開発??

縦だの横だの斜めだの
わけわからないことおっしゃりやがってる人はさておき、
我々もいよいよ受験勉強を強いられ始める頃合いとなりました。
今後はよく進路講演会とかで部活に遅れることがあると思うので、
一年生の皆さんそこんとこヨロシクオナシャス。


さてさて、一高祭の三日間abc(小文字ですよ)を読み続けていた結果、
すごい勢いで覚えることに成功した私ですが、
最近アニメのセリフを忘れてしまい困っています

この2年近く前のガンダムUCepisode4も
2か月前は余裕で全て言えたはずなのにところどころ空白になってしまいます。
何があったんですかねこの2か月間。
耳が聞こえなくなったり
テスト勉強してみたり
ガンプラ砕かれたり
いろいろありましたがこれと言って思い当たる節はありません。
記憶障害かな?怖いですねえ…
それじゃあ英単語が覚えられないのも仕方ないのかも
まあ、強歩大会の間PSPで本編垂れ流しながら走ってれば
また覚えられるんじゃないでしょうか(適当)
この話すると「もっと有用なことに使えよ」
とか言われるんですけど、
困ったことに他の事への技術転用はできないみたいで^^;
一回英語でやってみようと思ったんですけど
見事に挫折しました。
やっぱ映像も同時に無いと覚えられないみたいです。
なんかないんですかね。


以上、授業中に脳内再生で暇潰しする程度の能力のご紹介でした

エコノミクス大会からのお知らせ

縦のものや、横のものがありますがやはり横が一番だと思う
コンマイPです。
四方八方も捨てがたいですが…。

エコノミクス大会に方からお知らせです。
一か月近く前のものですが、ご覧ください。

「第八回エコノミクス甲子園・キャプションコンテスト!」開催!

 お題となる次の写真で一言「ボケて」ください。リツイート数、お気に入り数、そしてエコ甲実行委員会の投票により最優秀賞に選ばれた方には、賞品としてなんと「メイプルリーフ金貨」が贈られます!

 ルールは以下の通りです。
1.エコ甲公式アカウント(@ecokou)をフォローすること。
2.応募ツイートにはお題の写真と、ネタ(ボケ)となるキャプション、そしてハッシュタグ「#eq8boke」を必ず含めること。
3.参加に年齢制限はありません。高校生でも社会人の方でも参加できます。
4.締め切りは2013年11月1日。厳正な審査をもって、12月中旬までには最優秀賞を発表いたします。

お題となる写真はこちら! 皆さんの力作をお待ちしております!!

とのことです。

まあ、やる気はないですけどね。


エコ甲のツイートによるとエコ甲地方大会に参加した生徒全員も1パックもらえるという噂があるそうです。
それより参加賞の金増やせ


エコノミまであと2か月となりました。そろそろ準備を始めたいところですね。
筆者が本気を出すのはもう少し後かな。

それでは。

アカギ…?いえ、知らない子ですね。

どうもこんにちは。
部室の物がすごい勢いでいろいろ紛失して涙目の男、佐藤です。
取ってった人(バケツ借りてった人も)、怒らないんで早く返してくださいね。
返せないなら訳を話してくれればこちらも譲歩します。
じゃないとPOLICEに被害届け出しちゃいますよ。


さてさて、最近カードゲームのブースターパックを買うのにはまっている私です。
それで、いろいろ集めてるカードがあるんですが、
なかなか出ないのです。
このために長い間貯金してきたわけですけども、
やっぱお金を使ってるうちになんとも言えない気持ちになってしまって
売り場の前で葛藤する日々を繰り返してます。

でも結局倍プッシュしちゃうんですよね
クイ研的には倍プッシュよりマーチンゲールとか言った方いいんでしょうか。
どっちにせよ確率が1/2の時にしか使わないらしいですがどうなんですかね。
しかも当たったところで価値的に勝ち越せないと思うんですが^^;


まあ、それでもやり続けるのが男ってもんですよ!
ヒャッハ!倍を通り越して三倍アイスクリームだぜ!
ちょっと前、アイマスとかいうよくわからない物のカードを買って
響とかいう人のサインカードを当てて以来、
なんだかハズレる気がしないぜ!!
そんな思いを胸に俺はレジへと向かっていくのであった!
バーサーカーソウル!
ドロー!
プリペイドカード!
俺はお財布からそっと図書カードを取り出した…!
実は私がよく行くこのお店、なんと図書カードでなんでも買えてしまうのだ!!
やったぜフラン!
現金がない私でも買い物ができる良心設計!!
さてさて、運ばれてきたのは10袋!
すばらしい!三択の女王様もお喜びだ!
とっとと会計を済ませさっそく開封作業に移る私!(※よい子はお家に帰ってからry)
うん、


うん。。


……当たらないぜ…!
教えてくれ…俺はあと何回この後悔を繰り返せばいい…
ブシロードは俺に何も言ってはくれない


でも、この一連の流れを体験したとき、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれると思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このブログを書いたんだ。


実際この手のゲームってなかなか子供向けではないと思うんですよね。
この「(レアが)出るのではないか!」という
射幸心を煽るなんとも巧妙な手口を使い
子供たちと大きなお友達の財布の紐を緩めるというすばらしい魔術!!
???「貴様たちの献金のおかげで給料を増やしてくれてありがとう!」
とかいう声も聞こえてきそうです。
まあ今回は欲しいのが当たらなかったという絶望の元、
気の向くままにつらつらと書いていますが、
こんな経験をした人は私だけではないはずです。
是非みなさんも気を付けてくださいね…

P.S.眠くて文がいつも以上にめちゃくちゃな気がしますがとりあえず更新しておきますね。ってかタイトル関係な(ry

お初です

特に書く内容も決まっていませんが執筆活動―シッカツ―を始めようかなと思っています


特に書くことがないので、エコノミクス甲子園の宣伝でもしますか



12月16日に七十七銀行宮城県大会が行われます。


例年通り、土曜授業の次の日ですが−2000円の参加費がかかるので一年生は是非参加してほしいもの です。



理系地理のわたくしですが、経済講演会を聴くべきか非常に悩んでおります


まあ、それ以上に自分の国語力のなさに悩んでいるんですけどね





今年度会計ガンガンP(仮)でした

初投稿!「一高クイ研事件簿」

はじめましての方ははじめまして、お久しぶりの方はおはこんばんちは
家庭教師なるものに手を出そうとした新部長の佐藤です!初投稿です!


秋になる(期末でやばい点数を取る)のと同時に、
すごい勢いで我が家が受験ムードになってきて
パソコンに向かいづらい今日この頃ですが
なるべく更新して行こうと思います。

おそらく会計の及川氏も更新してくれるでしょうし、
先輩も頑張ってあの小説を書き続けてくれることでしょうから
今後とも期待していてください。


さて「一高クイ研事件簿」と書きましたが
何が事件かというと
一高祭の時に買った商品の売れ残りがすごい勢いで消失してしまった(過去完了)
ということです。
今や100個近くあった売れ残りも、残すところM先輩の飲み残しDrpepperだけになってしまいました。


今のところ摘発したのは二名で、
一人は元部長のM上先輩です。
彼は部室に入り「あ、ココアシガレットある」
などの犯行声明を残し、その後サイダーを飲み、
受験勉強トークをし、華麗に去って行かれました。

そしてもう一人は元会計、グーフィーでおなじみのK田先輩です。
とある水曜日、私が部室を開けようとしたところ、そのタイミングを待っていたかのように
「チョリッスー☆」
とあらわれ、颯爽と部室に入り、
自分と友達の分計三本のサイダーを持ち去り、
夕日へ向かってどこまでもどこまでも走って行かれましたとさ。めでたしめでたし。
調べに対しK田先輩は「身内だから良いと思った」との供述をしています。
(なんでや!友達クイ研関係ないやろ!)


まあ別にここまではいいんですよ!
それで勉強の活力になるなら私は構いませんよ!(出世払いオナシャス)
問題はそのあとで、先輩達は
「サイダー」と「ココアシガレット」しか("しか"ではない気がしなくもない)
持ち出してないにもかかわらず、
あの箱単位で残ってたお茶とコーヒーが数週間で消えたのです!
もうびっくりですよ。
気が付いたらいつの間にか半分以下になっていて、
昨日見たらもう残り一本でしたよ!


先輩が飲んだならそれでいいんですがねー
もしかしたら及川が一人で飲んだんじゃないかと思うと、
怖くて夜も寝られません


そんな話でした。
もし行方をご存知の方がいらっしゃいましたらコメント欄にお願いします。


閑話休題


まったくテレビを見ない私が、こんな話をするのもなんですが、
あまちゃんに、「暦の上では師走ー」ってありますよね?

あの曲の歌いだし、私にはどうもラ・マルセイエーズの冒頭に聞こえてしょうがないんですが

誰に言っても理解してもらえません。
音の進行も同じだと思うんですが…

やっぱ耳がいかれたのかな?
あーあ

もぅマヂ無理。。


リスカしょ…


今手首切った


キノコはえてきた


食べた


おいしぃ。


何を言っているんだ私は。。。
文めちゃくちゃなのは深夜の頭だから仕方ないってことで…
ではまた今度。さようならー

クイ研架空戦記@一高祭(3)

<前回・前々回の記事を読んでいない方はそちらからお読みください>

一高祭二日目:「海賊(フィリバスター)」


「それでは、クイズの方を開始しましょうか。ルールは、先程の金髪の方と同じ、7○3×で、良いですかね……?」
さすがに先程良い勝負をした金髪の男を「使えない」呼ばわりするような人たちには、手加減は無用だろう。そして向こうも手加減は必要ないと思っているようであった。
「無論。こちらからお願いしようと思っていたところだ。さあ、始めてくれ」
そう言う偉丈夫から漲る自信が、隣に座っている及川にまでひしひしと伝わってきた。
(果たして……「海賊(フィリバスター)」と言う通り名がどれほどのものなのか……)
少し不安になる及川。
 そして、問い読みが始まった。
「それでは行きましょう、ルールは7○3×。問題。今日摘んでも/」
机を叩いたような大きい音がした。佐藤――筋肉隆々の男からだ。
「明日葉」
「うっ、わぁお……。正解です……!」
思わず驚きの声を上げる司会。今のがボタンを押した音だと……? と、その場のクイ研部員は皆思った。あまりにもパワーがありすぎる。流石に元ボクシング経験者だ。
(くっ……先んじられてしまいましたね)
及川が思った。
(今の押し……確かにすごいスピードでした……ですが、それが腕のスピードによるものなら……トルに足らないっ!)
再び構える及川。
「それでは、問題。「親譲り/」
またしても佐藤の手元から大きな音――それはもはやクイズ中に出る音とは思えないレベルの大きさだ。佐藤が答える。
「『坊っちゃん』」
「せ、正解!」
問い読みが正解音を鳴らす。
「なんだ、あの押しは!」
「すごい速い……!」
書き出しに対する素早いスラッシュ。本来は敵であるはずのクイ研側でさえ、佐藤の押しを称賛せずにはいられなかった。一同が驚嘆としている中、敵陣の茶髪の美女と帽子を目深にかぶった長身の男の二人だけが冷静だった。茶髪の女が口を開いた。
「どう? これで分かったでしょう、佐藤がなぜ「海賊(フィリバスター)」と呼ばれるかが」
色っぽい声で女が話す。
「一つ目はその暴力的な押しね。端子を提供する企画者たちに次々と泣きを見せてきたのよ、佐藤は。そしてもう一つが、今のような高速の押し。その押しで場をかき回してきた。それが佐藤の通り名の由来よ」
実はここでは、この美女は正しいことは話していても、正確なことは話していない。この高速な押しには、ちゃんとした裏付けがあった。
「自動反射(オート・リフレックス)」。
男は自分の押しをこう呼んでいた。とは言っても、その内容は名前ほどいかついものではない。何のことはない、ただの努力と修練の成果なのだ。
佐藤の練習法は至ってシンプルだった。同じ問題を早く押すことをただ何度も繰り返すこと。佐藤はそうすることで、問題の確定ポイントをひたすら体に植え付けたのだ。その練習方法は、文化系というよりもむしろ体育会系のそれに近い。ボクシング界出身だからこそ、その練習方法に至ったのだ。
そしてこの方法による押しのメリットは、「考えていない」、反射による利点であった。
熱い薬缶に手を触れると、「思わず」手を離してしまう。脊髄反射と条件反射の違いはあるものの、感覚的にはそれに近い。この反射により考える時間を省くことで、コンマ数秒単位で早く押すことが出来る。そのコンマ数秒が勝敗を決する競技クイズにとっては、佐藤の「自動反射(オート・リフレックス)」は非常に効果的であるのだ。
 京介が小野寺に問いかけた。
「小野寺先輩、相手相当強いですね。あれに……及川は勝てるんですかね?」
「うーん、押しでは敵わなくても、知識で及川くんがカバーできれば。まあでも、確かに厳しいね」
「ですよね……なんか胸騒ぎがするんですよね……大丈夫かな及川」
「胸騒ぎ?」
聞き返す小野寺。
「ええ……なんか嫌な予感というか……どことなく懐かしい感じというか……」
答える京介に対し小野寺が同意した。
「ああ、それなら俺も何となく感じてるよ。まあ気の所為かもしれないけど」
「そうですね」
 司会者役の一年生が、少し途切れた場を取り繕うと声を張り上げた。
「ええーと、コホン。それでは良いですか、皆さん。ではクイズを続けます。現在は佐藤さんが2ポイント先取となっております。参ります。問題。フランス語で「稲妻」/」
またしても押したのは、佐藤だった。
「エクレア!」
「正解!! またも素晴らしいポイントでの押しです!」
怒涛の高速押しに笑顔も引きつるクイ研勢。京介が言った。
「すごい押しですね……「フランス語」からの読ませ押しですかね?」
それに対し鎌田が否定する。
「いや。あれはちゃんと聞いて押しているだろう。先程の押しから察するに、「フランス語」で読ませ押しをしてたら、もっと早いポイントになるはず。ちゃんと「稲妻」まで聞いてから押してると思うよ。第一、普通「フランス語」から読ませ押しをしようとは思わないよ。だって選択肢が多すぎるから。まだ「ケチュア語」とか「スウェーデン語」なら分かるけどね」
「確かにそうですね……。でもですね、普通「フランス語で「稲妻」」で押そうと思ったら、聞いてから押すので、「フランス語で「稲妻」という」まで聞くことになるんじゃないですか」
「そう、それが普通だ。それが「聞いて答える」ときの壁になるはずなんだ。でも奴は、その壁を突破している……どんな方法でにしろ、かなりの手練れには違いないよ」
思わず生唾を飲む京介。
 そして及川は、額に脂汗を浮かべていた。
(こいつ……とんでもなく……疾い!! この押しに、どうすれば勝てるんですか……? いやそもそも、勝てるのですか……? ……いや待て待て、ここで弱気になっちゃだめです。押していかないと)
構える及川。
「続けて参りましょう、問題。フランス語において、通常発音されない子音字が/」
しかし。またしても押したのは佐藤だった。
リエゾン!」
正解音が鳴り響いた。
「またしても正解! 何と4連答です!!」
微笑む偉丈夫、佐藤。一方、及川はと言うと……。フラフラしている。心、ここにあらずと言った状態となっていた。
リエゾン……リエ……りえ……」
うわ言のように「りえ……」と繰り返し呟いていた。
小野寺が声を上げた。
「今の押し負けは……及川くんにとってただの押し負けじゃない。これは結果として、及川くんの心にも大きなダメージを与えたことになってしまった……。何故なら……及川の元カノの名前が「りえ」なんだよ!!」
「りえ……りえ……ふふ……そうですよ……」
正気を失ってしまったかのように、なおもぶつぶつと呟き続ける及川。彼はりえとの間にこんな思い出があった。


 昨年、及川高一の冬。気温が下がっている中、及川には春が来ていた。彼女が出来たのだ。それも向こうから告白される形で。その彼女の名前が、りえだった。
 及川は当時、毎日ハイテンションだった。我が世の春ぞとばかりに青春を謳歌していた。そんな中、12月も中旬に近づいていた――もうすぐクリスマスだ。及川は当然、りえとのデートの約束を入れた。
 そしてクリスマス当日。及川は待ち合わせ場所のステンドグラス前には30分前に着いた。当然のことです、と思った。ふと横を見ると、隣で携帯をいじっているチャラチャラした男がいる。何だこいつは、と及川は思った。まあこんな日に待ち合わせだからこいつも彼女を待っているのだろうが、どうせ薄っぺらい女を待っているのだろう、その点俺はどうだ! りえだぞ! と。
 しばらくして、りえが来た。及川は改札を抜けてこちらに来るりえに大きく手を振った。りえが近づいてくると、及川は自分の心臓の鼓動がアレグロってるのが分かった。
「ごめん、待ったぁ?」
そのりえの言葉に、「今来た所だよ(キラッ」と小声で返そうとした及川だったが、それはりえの次の言葉に遮られた。
「あ、丁度良かった」
何が丁度良いんだ? という疑問は、次の一声で氷解した。
「この人、私のカレね」
そう言ってりえは何と、及川の隣のチャラ男の肩に抱き付いたのだ。
 突然のことに動揺し、言葉も出ない及川。目は男とりえを往復し、右手は無意識に自分の太ももを太鼓のリズムで叩いていた。しかしりえはそんな及川に構う素振りを一切見せず、矢継ぎ早に話をしていく。
「その態度が超面白かったからぁ、適当に遊んであげてたけどぉ、私クリスマスはカレと過ごすんでー! チョー幸せ! あ、一つ言っておくけどぉ、あたし、お前のこと一度も彼氏とか思ってないからー! あれ、もしかして勘違いしてたぁ? やだー、超ウケるんですけど―!」
 頭痛と、強い立ちくらみ。気付けば及川は、視界が暗転し、りえとチャラ男の高らかな笑い声が、どこか遠いところから聞こえた気がした……。
 気付くと及川は、膝立ちで部室にいた。右手にはカッターナイフ。はぁ、とため息をつく。こんな不憫な自分は、もう生きていても仕方ない……。そしてその刃を、左手首にあてた。
「どぉせゥチゎ遊ばれてたってコト……」
ぼそっと呟いた、その時!
「ダメだ! 及川くん!」
 突如小野寺が部室に飛び込んできて、一瞬でカッターナイフを取り上げた!
「そんなことをしたって、何にもならない!」
でも、と及川は立っている小野寺を見上げる。
「大丈夫。分かってる。女に振られたんだろう。でもそれがなんだ! 気にするな! 三次元の、女なんて! 君には、及川君、君には! 俺にその素晴らしさを教えてくれた、 アイマスがあるじゃないか!!」
一呼吸、二呼吸遅れて、及川が口を開いた。
「そう……でしたね」
 失われていた及川の眼の光が、少しずつ色を取り戻してきていた。


「そうか……及川くんはまだあれを引きずっていたのか」
悲しそうな目で及川を見る小野寺。「りえ……りえ……」と呟き続けている及川に、もはや戦意は認められない。一度立ち直ったとしても、まだ傷は癒えていなかった。
「おい」
佐藤が低い声を出した。
「どうするんだ? クイズは」
それに京介くんが答えた。
「いやはや……全く予想していないアクシデントで、申し訳ないです。そうですね……どうしましょうか……あ、そうだ。こちらに代理を立てさせていただけませんか? よろしければ、ですが」
「無論」
即答する佐藤からは、やはり余裕、というか自信が感じられる。
「それでは……小野寺先輩、行っていただけますか?」
「ん? ああ、俺で良ければ。じゃあ――」
そう言って小野寺は解答者席に着いた。
「ほら及川くんは、隅で休んでて。お疲れ様」
フラフラと席を離れる及川。
「ええと、大丈夫ですか。それでは始めても……良いんですよね? ポイントは先程から継続、という事で……」
動揺気味の司会者。
「ああ、始めようか――よろしくお願いします、佐藤さん」
隣の偉丈夫に会釈する小野寺。
(勝たないと、及川くんのためにも。いや、大丈夫。勝てる。さっき見た感じの、この男の押しなら)
「では、問題。英語で「名誉」/」
二人がほぼ同時に押した。だが、端子が光ったのは、何と小野寺先輩。
「オナー!」
「おおっ、大正解です!」
 先程の佐藤の押しに負けずとも劣らない十二分な押し。
 京介が言った。
「さすが、小野寺先輩ですね……でも小野寺先輩も、「という」まで聞いてないんですね……?」
鎌田が答える。
「もちろん、小野寺先輩も相当な手練れだからね。でも俺が見る感じでは、あの佐藤という男の押しと、小野寺先輩の押しでは、原理がそもそも違う……」
司会者が進行する。
「では、続けて、問題。「柔らかい髪の毛」「曲がっ/」
またしても、解答権は小野寺に。
「……猫!」
「正解です!」
クイ研のペースになってきて、思わず笑みを零す司会者役の一年生。
「……あれ? さっきの問題では向こうの佐藤も押しにいっていたのに、今は押していなかった……?」
疑問を漏らす京介に対し、鎌田が言った。
「そうだよ、だって今のはいわゆる「ベタ問」というよりは、「発想系」の問題に近いんだから。そしてそのようなタイプの問題に、相手は反応できていない。これが、さっき言った原理の違いだよ」
「……? つまりどういうことです……?」
「つまりだ、向こうはおそらく問題を「考えずに」押しているんだろう。さっきの「オナー」の問題なら、おそらく小野寺先輩も「考えずに」押していたと思う。でも今の押しは「考えて」押しているんだ。「考えている」のに速い。それが小野寺先輩のクイズだ」
「「考えている」のに速い……? 人間にそんなことが可能なんですか?」
「ああ、可能だ。「ゾーン」と呼ばれる状態に入ればな」
「ゾーン?」
「簡単に言ってしまえば、極限に集中した状態のことだよ。元々はスポーツ界で言われ始めた言葉なんだが、クイズにも当てはまる。というか君も使っているはずだよ? フルで集中して問い読みの声を聞いていたら、音が遅れて聞こえた、一瞬の間に沢山のことを考えた、みたいな状態だよ。走馬灯みたいなものかな」
「なるほど……。つまり今の小野寺先輩の押しはその「ゾーン」に裏打ちされているという事ですね」
「ああ。そしてこの「ゾーン」を、おそらく相手は使えない。だからスコアの上では小野寺先輩が降りだけど、技術の上では小野寺先輩が圧倒的に有利なんだ」
 そのように鎌田が分析している間も、集中し、士気を高める小野寺。次の問題が読まれた。
「問題。幅約10m、高さ約6.7mとルーブル/」
点いたのは小野寺。
「『カナの婚礼』!」
「正解!! 何という押し!」
 多少難しめの問題でも、早く拾っていく小野寺。誤答をしていないので、安心して押せるのだ。それに、早く追いつきたいという思いもある。
「続いていきます、問題。80本立て/」
今度は、点いたのは佐藤だった。
「そう簡単にさせるか。茶筅!」
「正解です! さあ、現在佐藤さんが5○、小野寺先輩が3〇という状態です。では参ります。問題。鍾乳洞にできる炭酸カルシウムの結晶で/」
解答権は、小野寺に。
「石筍!」
「ああっと、すみません、不正解です。正解は石柱でした」
 無論ここでのただ一回の誤答で、小野寺が怯むことはない。今のタイプの問題で答えが「石柱」になるのは稀なことだし、その程度のリスクは覚悟した上での押しだ。誤答できるとき、小野寺はその真価を発揮できる。
「では参ります、問題。片面だけ焼いた/」
またもや解答権を手にしたのは小野寺だった。
「ターン、オーバーァァー!」
「正解です! 早い! 早すぎる!」
高速の押しに沸くクイ研メンバー。

 そして、その後も、小野寺の快進撃は続き……

「方違え!!」
「正解です! おめでとうございます! スコアが5○1×に対し7○2×で、小野寺先輩の勝ちとなります!! おめでとうございます!」
止まない正解音に、大きな歓声が重なった。
「いやったー!! さすが小野寺先輩です!」
「さすがです!」
「すごかったですよ!!」
そんな賞賛の言葉に照れる小野寺。しかし視線は違う所にあった。
「いや、ありがとう。でも、まだ終わらない、よね?」
見ると、明らかに苛立った様子で茶髪の美女が佐藤を押しのけて椅子に腰かけた。一瞬で場の空気が緊張する。女の雰囲気に気圧されたのだ。
「ったく、どいつもこいつも……これだから使えない男は」
吐き捨てる美女。そして煙草を取り出し、火を点けた。
「ふう。ひとまず私を引っ張り出したことに関しては褒めてあげるわ。まあでも、快進撃もここまでよ。私が終わらせてあげるわ」
場の空気が、いっそうますます張りつめた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


えーっと、そうしくんから催促も来ましたので書きましたよ、続き。
本格的に忙しいのでなかなか書けないかもしれないです。
今回は及川を掘り下げてみました。散々な目だったな、及川。不憫だ……。
まあ何かこんな感じで、各人物を掘り下げていけたらなーとか思ってます。
それでは、お楽しみいただけると幸いです、『クイ研架空戦記@一高祭』。

クイ研架空戦記@一高祭(2)

<前回の記事を読んでいない方はそちらからお読みください>


一高祭二日目:「金髪の男」


「よーし、今日も稼ぐぞー!」
「おーッ!!」
 部員たちが意気揚々と準備に取り組み、もう準備が完了した辺りで、その男は一般展示開始まであと10分、という所で現れた。
「おゥ、クイズやってるってのはここかィ?」
見ると、入り口にもたれかかっている金髪の男。
「あ、まだちょっと早いですけどやっていかれますか?」
まだ早い時間から――今日も期待できそうだ。
「あァ、その事なんだけどよ、まだ客も来てないっぽいし、5ゲーム一気にやらせてくんない?」
そう言って500円玉を渡す金髪の男。一年生がどうしますか、とカウンター席をちらっと見たが、「なあ良いだろ?」と押し切ろうとする男に負けてしまい、そのままクイズを始めることとなった。
「で、では始めましょうか」
 司会者役の一年生が問題集を手に取り、解答者役の一年生がボタンを手にした。そして金髪の男もボタンを手にした、その時――。
 教室内の空気が変わった。
 端子を持つ一年生の顔が強張る。
「あ、こらやべえな……」
鎌田が小さく呟いた。
「それでは、始めましょうか。問題。人間の「第三大臼歯」/」
 勢いよくボタンを押したのは――金髪の男だった。
「親知らず?」
「せ、正解です……!」
 確定ポイントでの綺麗な押しに、目を瞠る一年生たち。
「では、続けて参ります。問題。フランス語で「赤い風車」という/」
またも早いポイントで、金髪の男の端子が光る。
ムーラン・ルージュ!」
「正解……!」
これで男は二連答。そしてその後も、支配権はずっと金髪の男にあった。
「代表作に建仁寺所蔵の国宝『風神雷神/」
俵屋宗達!」
教室に正解音が鳴り響いた。
「えっと……見事勝利、ということで、賞金を贈呈します」
「ああ、良いよ別に。後でまとめて貰うから」
なんと第1セット、この男は7連答であがってしまった。司会者も驚きを隠せていない。
「ほら、次のセット行こうよ」
 男が促す。そして次のセット、またその次のセット、と男は連勝していった。そしてセットが終わるごとに、解答席についている一年生の緊張が大きくなっているのが、カウンター席から見ていても分かった。
「こ、これは……まずいですね」
 カウンター席で、及川が小野寺先輩に言った。小野寺先輩が応答する。
「うん。ちょっと今の一年生たちにあの男の相手はきついね……。だってあの男、どうやら『覇気』を使っているようだから」
「やはり――小野寺先輩も気付いていましたか」
 覇気。ちょっとでも高いレベルのクイズ対戦をしたことがある人なら経験があるだろう。自分が「流れ」に乗っているとき、まるでその場全体を支配しているように感じたことが。或いは、相手の「流れ」に支配され、まるで手出しできないような、何をやっても裏目に出そうに感じたことが。そのような「流れ」を掴んだ時に発せられるもの――それが「覇気」だ。
 またはこう言っても良いかもしれない。クイズ大会の会場に行く途中、「あ、この人はクイズプレイヤーだ」と気付くことがあるだろう。この事は「クイズのオーラが出ているからだ」と説明されることが多いが、その「オーラ」こそが「覇気」である。
 あの金髪の男は、その「覇気」を少なからず使っている。そのせいで一年生は必要以上のプレッシャーに圧され、思うようなパフォーマンスが出来ていないのだ。
 金髪の男が連勝した所で、及川はその男に声を掛けた。
「見ての通り、うちの一年生は気分が優れないようです。」
確かに、見るからに解答者役の一年生は顔色が悪い。
「ですから、代わりと言っては何ですが、最後の一戦は私とやって頂けないでしょうか?」
あァ? と及川を見る男。その眼光は鋭い。
「おいおい、約束が違うじゃねえか。規約違反じゃねえのか?」
せこい男だ――及川は思った。まあ好い。
「確かにそうです。ですから、賞金の方を200円、プラス300円、でどうでしょう」
「ほう……」
男がにやり、と笑った。
「フン……まあそれなら良いだろう。お前は、俺を楽しませてくれるんだろうなァ?」
「そうですね……少しばかり痛い目を見ることになるかもしれませんよ?」
二人の間に火花が走る。
司会者役が始めますか、と二人を見る。二人が席に着いた。
「それでは、始めますか」
「いや、もう一つだけ提案があります」
及川が金髪の男に言った。
「あなたは結構な実力をお持ちのようです。ですから、ここは一つ、私と平等なステージで勝負をしませんか――7○3×で」
「へぇ……ずいぶん弱気なんだなァ? まあ良いけど。じゃあ始めようか、7○3×」
条件が変わったことに対しても、余裕の姿勢の男。司会者が口を開く。
「では、始めたいと思います、7○3×。問題。「私は其人を常に/」
一問目。ここで答えられるかどうかで、今後の流れが大きく変わってくる。そのことを知っている及川は、全神経を耳に傾けた。書き出し問題。確定ポイントが非常に早く来るこのタイプの問題は、最も純粋に押しの速さが問われる。
(押したが――勝ったか?)
ボタンが光っていたのは、及川だった。及川が少し微笑んで答える。
「『こころ』ッ!」
「正解!!」
(これでこの男の思い通りには、なりにくいはず)
現在の状況を冷静に分析する及川。ここで一問取ったと言っても、相手にはまだまだ先程の試合での連勝という流れがある。それを断ち切れるかが勝負のカギだ。
(先程見た感じでは、おそらく私の方が実力は上。この調子で、畳み込む!)
「問題。元々は書道で書き損じた紙/」
日本語の語源問題。語源を正確に把握していれば、後振りを聞かずとも押せる。またもボタンが点いたのは及川だった。
「反古!」
「正解!」
「よしっ!」
流れが、及川に来ている。
「続けていきます。問題。アルゼンチン、ブラジル、パラグアイの国境近くに位置する、……」
(くそ……まだわからない……)
「……「すごい水」という/」
二人がほぼ同時に押したが、金髪の男の方が一瞬速かった。
イグアスの滝、だ!」
「正解です!」
(しまった……。前振りで分からないと、いつ押すかのリズムがくるって早く押せない……。そのあたりこの男は、得意なようだ……)
司会者が続けて読む。
「では、問題。カクテルなどに用いられる、……」
(前振りで浅めの限定……ということは、次辺りで確定ポイントが来るはず……。だから、知っている単語が来たらすぐ押せるように、押しのギアを一段階上げる……!)
司会者の次の言葉に集中する及川。
「……ザクロ/」
反射的に押す及川。少し遅れて男も押すが、間に合わない。
(ザクロと言っていましたね……分かりましたよ、答えが)
グレナデンシロップ!」
「正解です!」
男の眼が少し驚きの色を含んだ。今の押しには敵わない、と思ったらしい。そしてそれを、及川は見逃さなかった。
「ふぅー……」
静かに息を吐く及川。相手を威圧する。そしてこれこそが、覇気。
(私にだって、覇気は使えますから……)
及川は、端子を握る手に一層の力を込めた。
「「経済の発展とともに産業は第一/」
得意の経済問題! 及川は一際早いポイントで押す。
「ペティ・クラークの法則!!」
「正解ー!」
 この時点で、及川が4〇、金髪の男が1○で、両者共に誤答は無しとなっている。大分及川に有利な状況となっている。そしてそれは単にポイント数の事だけではない。今流れは、完全に及川に向いている。
「問題。第1回文化勲章も受章している/」
点いたのは、金髪の男。
横山大観?」
「正解です! 朦朧体という画風を確立したことで知られる日本人画家は誰でしょう? という問題でした」
(なっ……? いや、落ち着きましょう。今のは確定ポイントではない押しです。例えば他には、「土星型原子モデルを提唱した、大阪大学初代総長にもなっている物理学者は誰でしょう?」「長岡半太郎」という問題や、「KS鋼の発明者である物理学者は誰でしょう?」「本多光太郎」などの問題があります。要するに……今の押しは早すぎる。相手は私の覇気に気圧され……焦っている!)
「続けて参ります。問題。太陽を背にして立った時に/」
ボタンを点けたのは――またしても金髪の男。だが、その顔には明らかに狼狽の色が映っている。
「え、えーっと……かげおく、り……?」
この答に対し、このゲーム初となる、不正解を告げる音が鳴った。
「残念。前方の雲や霧に自分の影が大きく映り、周りに虹色の輪ができる現象を、ドイツの山の名をとって何というでしょう? という問題で、正解はブロッケン現象でした」
(やっぱりそうですね、相手は焦っています)
及川がカウンターの方に視線を向けると、「よくやっているぞ」という目で京介、鎌田、小野寺が見ている。
「現在、及川先輩が4○0×、お客さんが2〇1×となっております。では参りましょう、問題。現在の一円硬貨は……」
(さすがにここで押すほどの緊張ではないようですね……。それにしてもこの問題……一円玉といえば、答えになりそうなのは「一枚何グラムでしょう?」で「1グラム」か、「どんな元素でできているでしょう?」で「アルミニウム」か、「裏に描かれている葉の数は何枚でしょう?」で「8枚」とかですかね……。さて、次に何が来るか、ここはゆっくりめで読ませ押しをしましょうか)
「……何という/」
ここで及川のボタンが光った。
(解答権を得ることが出来ましたが……先程の中で「何という」に続きそうなのは……)
「3、2、……」
司会者のカウントが始まる。
(続きそうなのは……「何という元素」、ですかね。つまり、答えは……)
「アルミニウム!」
「正解です!!」
よし、と小さくガッツポーズをする及川。これで5○。あと2問だ。
「問題。モース硬度の基準となる鉱物で/」
金髪の男が押す。
(しかし……ここでは確定できない……しかもモース硬度計は10段階まである。つまり予測される解答は単純計算で10種類。先程の第一回文化勲章の問題ではたまたま当たりでしたが、二度目はありませんよ……?)
「……ダイヤモンド……」
下を向いたまま、男が答えるが、無情にも不正解の音が鳴った。
「えーっと、不正解です。問題文の続きを読みます。1は滑石、2は石膏ですが、3は何でしょう? という問題で、答えは方解石でした」
司会が言葉を続ける。
「さあここで失格リーチとなってしまったようですが、気を取り直して参りましょう、問題。ラテン語で「人」/」
ボタンが押されたことを示す電子音が鳴った。押したのは金髪の男。
(何……ですと? ここに来て確定ポイントで……)
「え、えーっと……何だっけ……」
(いや……これは語源問題を勘押ししてきましたか……)
「3、2、1、……」
司会者の三秒カウントの間、金髪の男は必死に考えているようであったが、答えは出てこず、不正解となった。
「残念でした、答えはペルソナでした。つまり……これで失格となってしまいますが……?」
困ったように視線を及川とカウンター席の間で往復させる司会者役の一年生。それもそうだ。先程まで場を荒らしていた男が、惨めに敗北してしまったのだから。少し間が空く教室。
 だが、その間もすぐにつながった――入り口からいきなり、三人組が現れた。部員たちの視線が一気に三人に注がれる。
「な……ええっと、お客……さん?」
突然の来訪者に動揺する部員たちを意にも介さず、ずんずんと教室を突き進み、金髪の男の方へと向かう三人。屈強そうな男、あでやかな服装の美人、帽子を目深にかぶった長身の男、の三人だ。
「もしかして、もう負けたっていうのかい?」
唇がつややかな女性が、心底軽蔑しているような目つきで金髪の男を見て言った。
「い、いや……待ってくれ、俺は別に……」
「ゴチャゴチャ言い訳するんじゃないよ!」
慌てて言い訳をしようとする男を、美女が一喝した。
「ったく、ほんとに使えない男だね……クイズが得意とか抜かしやがって……たまには役に立つかと思えば……この有様じゃないかよ!」
「ヒッ!」
男の肩がビクッと跳ねた。いや、男だけではない。クイズ研究部の部員全員が、その美貌にもかかわらず暴言を吐く女性に、ビビっていた。
「使えない男に興味はないよ……佐藤、やっておしまい」
佐藤、と呼ばれた男――筋肉隆々の男だ――がヌッと金髪の男の前に立った。
「ちょ……おい……」
冷や汗をだらだら流す金髪の男。その男に――佐藤と呼ばれた男が、勢いよく拳を振り下ろした。
 鈍い音がしたかと思うと、金髪の男は後方に吹っ飛んでいた。顔からは鼻血が出ている。そして、頭を少し前方に傾けたかと思うと、そのまま床に崩れ落ちた。
「お、お客さん!?」
ようやく声を掛けたのは、京介。
「すみませんが、店内での暴力行為は……」
それを遮るように言ったのは、金髪の男を殴ったがたいの良い男。
「道場破りだ」
「……はい……?」
ワンテンポ遅れて返事をする京介。
「だから、道場破りだ。お前らを倒しに来た。さあ、クイズを始めるぞ」
そう言って席に付く佐藤。
「いや、道場破り、と言われましても……」
困惑する京介に、佐藤に命令していた美女が答えた。
「あたしらはあんたらをつぶしに来たのよ、ただそれだけ。分かったらさっさとクイズをする! それとも何だい? 怖気づいているのかい?」
「いや……そんな急につぶしに来たとか言われても……」
一体何でそんなことするんだ? この大の大人たちが?
「ま、まあやりましょう京介氏。折角ですから」
まだ解答席についていた及川が言った。
「お、良いねー。あたしそういうノリの良い子、好きだよ」
美女が及川にウィンクをした。一気に挙動不審になる及川。
小声で小野寺が京介に話しかける。
「はは、クイズの時より緊張してるよ、及川くん」
「いや、この中で一番女性恐怖症の人が何言ってるんすか」
「うっ」
司会者が口を開いた。
「それでは……クイズを始める、という事で良いんですかね」
「ああ。だがちょっと待ってくれ。俺は自分専用の端子を持っているから、そっちを使わせてくれないか」
佐藤はそう言って荷物の中から端子を取り出した。外箱が金属製で、何やら重そうだ。
「いやでも……平等性に欠けてしまいますからね……」
迷っている司会者役の一年生に、美女が声を掛けた。
「安心しなさい。その辺はこちらもフェアにやってるわ。だから言うことは聞いておきなさい。そうでないとあなたたちの端子が犠牲になることになるわよ? 何てったって、佐藤は元ボクサーであり、その経験を培った高速の押しを展開する、「海賊(フィリバスター)」の異名をとる男なんだからね!」
 道理であの筋肉、一撃で金髪の男を昏倒させるはずである。
「では、端子を差し替えましょうか……」
教室内は、かつてないほどの緊張感に包まれた。そしてすべてのセッティングが終わった。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


こんにちは、村上です。昨日の続きです。
今回はちょっと長かったですね。
クイズの描写とかも今回はノーカットでお届けできてよかったです。
俺がクイズ中に考えていることをそのまま表現させて頂きました。
小野寺先輩には申し訳ありませんが、地の分では敬称を略させて頂いています。
あと最後の方に出てきたマッチョは聖地人をイメージしています。外見は聖地人そのものだと思ってください。
あちこちに伏線をベタベタ張っています。探してみてください。

それでは、お楽しみ頂けたら幸いです、『クイ研架空戦記@一高祭』でした!