解剖学的嗅ぎ煙草入れ(24)

Q.常用漢字で最も画数の多い漢字は何でしょう?
A.鬱

こんにちは。
ウィキペディアで「燃え尽き症候群」について調べていたら、「あ、これ俺のことだ(哀)」ってなって笑いました。
クイズの方でも、私生活の方でも鬱です。どうも、村上です。

特に書きたいことはないんです。というかやりたいことがないんです。参りました。
ただ、某被害者の会会長さんに「とりあえずブログ書け、小説書け」的なことを言われたので書いているだけです。

もう鬱過ぎて「鬱」ってノート1面にびっしり書きたいくらいです。
まぁ、別に俺のことはどうでもいいや。小説の続きを書きます。




今から3年前のことです。
日本の小さな町に、幸せそうな少年がいました。その少年の家庭は裕福でした。父と母との3人暮らしでした。家は白い壁の2階建てで、広くてこぎれいな庭がありました。少年は中学2年生で、名を観音崎橙大と言いました。
その観音崎家のお隣に、古くてみすぼらしい1階建ての家がありました。そこに住む家族は貧しく、明日食べるものにも苦労するほどでした。中学1年生の1人娘と、賭け事が大好きな父親が2人で暮らしていました。母親は娘が小学生に上がったころに、父親に愛想を尽かして出て行ってしまいました。それでもその父親は賭け事をやめませんでした。でも、その娘はそんな父親でも大好きでした。その少女の名は、松原虹乃と言いました。
時々、松原家の父が夜になっても帰って来ないと、観音崎家は隣の家の少女を自宅の夕食に招きました。実際虹乃ちゃんは、観音崎家と交流が深かったのです。よく暇なときには遊びに来ていました。彼女は頭がよかったので観音崎家にある本はその家の1人息子よりも多く読んでいました。そうして彼女はもっと頭がよくなっていきました。
一方観音崎家の1人息子、橙大くんはさほど頭が良いというわけではありませんでした。むしろ1歳年下の虹乃ちゃんよりものを知らないくらいでした。それでも橙大くんは虹乃ちゃんとよく遊びました。橙大くんは虹乃ちゃんと遊ぶのが楽しかったのです。
しかし、橙大くんは3年生に、虹乃ちゃんは2年生に進級するという春休みに、大事件が起こりました。松原家が破産してしまったのです。虹乃ちゃんの父親は後先を考えずに、目先のことだけにとらわれてしまい、競馬やらパチンコやらにたくさんのお金をつぎ込んでしまいました。風の便りによると、怪しいところからお金を借りていたこともあったということです。そうしてついに破産を迎えてしまったということでした。
虹乃ちゃんは悲しみました。明日食べるものどころか、もう今晩にはこれまで住んでいたこの家を売り渡さなければならないとお父さんから聞いたからです。そうするともう観音崎のおうちに遊びに行くのも難しくなるのかもしれません。遠くの町に行かないといけないのかもしれません。虹乃ちゃんはおいおい泣きました。大好きなお父さんの前で声をあげて泣きました。お父さんはただ黙って、つらそうに見ているだけでした。
その翌日のことでした。虹乃ちゃんは赤く腫れた目をこすって起きると、自分の家に人気がないように感じました。いやな予感がしました。隣の部屋の、お父さんの寝室となっている部屋に行きました。誰もいません。今は平日の朝の6時です。お父さんは普段まだ寝ている時間。何があったのか。虹乃ちゃんはなぜかとても不安になりました。虹乃ちゃんは足を速めて、居間へ向かいました。すると。

そこにはお父さんがいました。この家で一番丈夫な梁から、1本の綱でぶら下がっていました。虹乃ちゃんは声を上げられませんでした。最初は、何があったのかわからなかったからです。お父さんは虹乃ちゃんに背中を向けていました。虹乃ちゃんは震える声で呼びかけました。
「ね、ねぇ、ねぇ、お父さん、お父さん……おとうさんおとうさんおとうさん」
もう虹乃ちゃんは泣いていました。何が起こったか分かったからです。しかし信じられませんでした。虹乃ちゃんはお父さんに軽く触れました。すると、お父さんは、ゆっくりと回転しました。ゆっくりと回転して、虹乃ちゃんの方を向きました。今度は、虹乃ちゃんは悲鳴を上げました。虹乃ちゃんのお父さんの屍体は、虚ろな目をして、何も見てはいませんでした。苦悶の表情で、口からは吐瀉物が滴り落ちていました……。